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第三章

妻との出会い。

陽奈

じゃあ、やっと本題に入って。

20代で一番大きかった出来事って、なんかある?

巖 

そうだねえ。

やっぱ、おばあちゃんと出会ったことかね。

陽奈

ああ、そっか!

え、どこで出会ったの?

巖 

お見合いだから。

おばあちゃんと会ったのはね、おじいちゃんが24歳の時かな。

陽奈

24歳の時に、うん。

巖 

あのねえ、結婚しませんかって言われて。

巖 

給料が1万円か1万2000円か、なんか、そのぐらいなんだよ。

とてもねえ、生活できないからダメって言ってたんだけどね。

とにかく、一度顔を合わせろってね。はいはいっちゅって。

陽奈

あ、じゃあ最初あんま乗り気じゃなかったんだ。

巖 

うん、そうそう。

陽奈

なんで、気持ち変わった?

巖 

これね、

巖 

意外と綺麗だった・・・

陽奈

あっはは(笑)

巖 

それで、何回か会ってね。

正月だってのに、紺のさ、絣(かすり)の着物着てさ。





巖 

かわいい顔してさ、あ、これ良かったなって(笑)

陽奈

そうだったんだね(笑)

じゃあさ、おばあちゃんと結婚して変わったこととかは?

巖 

変わったことはねぇ、なんか遠い希望じゃないんだけども。

なんか、おばあちゃんと一緒にいると、希望に溢れてたね。

陽奈

あはは(笑)

巖 

ふっふっ(笑)

なんかいいことがある気がしてさ。

一緒にいるだけでいいなぁと思って。

陽奈

え、そのさあ。

おばあちゃんと出会った時の俳句とかないの?

巖 

出会った時の俳句はないねえ。

陽奈

作ってないの?

巖 

うーん、不思議なもんだね。

あのねえ、物事に夢中になってる時はね、

そういう俳句とか、詩とかいうのは、できないんだよね。

陽奈

あ、そうなんだ。

巖 

一度ぱっとこう、突き放してみないとね、

そういうものはできないんだよねえ。

陽奈

へえ~。

陽奈

じゃあね、最後に。

これからどんな感じで過ごしたいとかあるの?

巖 

これからね、もう88だよ、88

本当はさ、俳句とか詩とか作って本にしてたいけど。

ちょっともうめんどくさいなあっていう気持ちが起きた途端に

途中でぶん投げちゃったわけよ。

陽奈

大変だもんね。

巖 

旅行記とかもあるからね。

あのー、マチュピチュの旅行でしょ?

それから白神山地と、佐渡も行って、温泉もいっぱい行ったなぁ。

陽奈

旅行とか結構行ってるよね。

巖 

行く行く。

おばあちゃんが旅行好きなんだよ。

陽奈

この前も四万温泉ね、みんなで行ったし。

またね、どっか行きたいね。旅行。

巖 

うん、そうそう。

行きたいね。

陽奈

おじいちゃんの昔話、いっぱい聞けたということで。

これで終わりかな、ありがとう!