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第一章

西田巖という人物。

陽奈

早速なんだけど、色々聞いていいかな。

巖 

うん。まず何から始めりゃいいの?

陽奈

えっとね、「20代の転機」がテーマなんだけど。

でもその前に、おじいちゃんのことをちょっと

教えてほしいなって。

巖 

おじいちゃんのこと?

えーっと、まず名前は西田巖。

いわを、って読む。

陽奈

難しい字なんだよね。

昔、何回も練習した(笑)

巖 

そうそう。

えー、年は88。肉体的にはすこぶる健康。

陽奈

いいことだね~

巖 

で、10人兄弟の一番下。

陽奈

すごいよね。

え、当時でも多い方?

巖 

多い方、多い方。

陽奈

だよね、聞いたことないよ。

陽奈

じゃあ次は20代の頃について、色々聞きたいな。

巖 

20代というと、まあ大学卒業だよなぁ。

勉強はね、あまり好きじゃないからね。

巖 

大学んときも就職も、俺はね。

自分で血の滲むような努力をした、っていうのはない。

陽奈

周りに支えられたんだ。

巖 

支えられたんだよ。

ぼんやり生きてきたってことだねえ。

陽奈

夢とかは?なんかあった?

巖 

なんかあったかなぁ・・・

陽奈

やりたかった事とかないんだ。

巖 

うーん、やりたかったことはね、

詩を書くことと俳句を作ること。

陽奈

好きだったんだ。

巖 

これ好きだったの。

俳句は小学校の時作って、新聞に載ったもん。

陽奈

俳句とかさ、詩はさ、結構今でも作ってるでしょ?

巖 

うん。

なんか不思議なもんで、自然に出てくるのね。

そうやって長いことやってるから。

陽奈

へぇ!

え、じっくり見たことないけど、どんなの書いてんの?

いつも玄関に貼ってあるよね。

巖 

俳句の・・・

俳句ちょっと待っててね、取ってくる。