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第二章

88年間、俳句とともに。

巖 

これこれ。

陽奈

えーすごい、初めて見るかも!

あ、もう令和になってから、こんなに作ってるの?

巖 

うん。

陽奈

これ自分で製本してるの?

巖 

そうそう。

陽奈

え、すごいね!

巖 

暇なんだよ(笑)

陽奈

句集を作り始めたのって、最近なの?

巖 

いやいや、平成。

昔からの古いやつを集めてる。小学生の時からね。

陽奈

ええ、そうだったんだ!

なんかお気に入りの、ないの?

巖 

お気に入りはねぇ・・・これ。

「入道雲」っていう、我ながら大らかな良い句だなと思ってさ。

大事にしてる。





巖 

これはね、みんなで海水浴に行ったんよ。

それで、こうね、入道雲がぐーっと立ち上がって見えたんよ。

で、ああ凄いなぁと思って作ったのがこの句。

陽奈

へぇ、なるほどね。

おじいちゃんの気持ちを書いてんだ。

巖 

そうそう。

俳句っちゅうのは、理屈がなくていいんだよ。

陽奈

そうなのねぇ。

陽奈

え、私の句とかもある!

生まれた時のだ。





巖 

そうだよ、3カ月。

陽奈ちゃんを抱っこしながら、詠ったんだろう。

陽奈

そうだね、ずっと抱っこしてもらってたもんね(笑)

巖 

懐かしいねえ。

陽奈

えー、おじいちゃんが色々、俳句とか書いてるの知ってたけど。

こんなにいっぱい書いてるの知らなかった。本当。

巖 

ああ、そう?

まあ、こんなことしてじっちゃんは過ごしてますよ。